シャトーディケム? No grazie!

このタイトルのように、シャトーディケムを味わう機会を断るなどということは通常あり得ない事、しかし、2012年収穫についてはあり得る事なのだ。かのシャトーディケムは2012年、生産されないのである。痛みを伴う決断であったのは、シャトーにとってもまさにその通り、しかしながらシャトーディケムが常に提供してきたのと同等の品質を提供することができないとの判断に基づいて決められたことであった。プレミエグランクリュクラッセにふさわしいクオリティーが得られないのであれば、社としての品質にこだわり抜く精神にはそぐわないとして受け入れられなかったのである。

2012年は、収穫のスタートから既に問題が生じていて、9月5日には貴腐菌のないワイン生産のギャランシーが得られていた。そして、貴腐はディケムをつくるのに使われる2つのブドウ種とその畑にはひろがっておらず、ブドウは完全なる形でこの高貴なカビに触れる事ができなかったのである。そのことから、決断は避けられないことであったのだ。2012年という年は、シャトーディケムだけではなく、他の生産者も同様のようで、実際にシャトーリューセックはすでにコメントをだしている。1992年から、このような事は起こっていなかったが、1900年からは10回程度起こっている事。ボルドーの他のプルミエグランクリュで、このようにドラスティックな決断をするものは他にいない。もちろん、収穫の一部をクラスダウンして生産する事もできたはずだが、そのようにはせず、厳しい立場をとることにより尊厳と価値をうみだしたのである。全ての生産は、”Y d’Yquem”  に引き継がれることになった。もちろんソーテルヌとは比べるまでもないが、それでもボルドーAOCに格付けされている辛口のワインである。”Y d’Yquem”が作られるのは、初めてではなく1959年にさかのぼり作られているが、継続的に生産が行われることはなかった。たったの23回のみ作られたこのワインであるが、そのことが、その絶対的な卓越した品質を阻害することはない。

“Y d’Yquem”2011は、ソーヴィニヨンブラン(50%)の驚くべき酸とフローラルさを持ち、グレープフルーツや、トロピカルフルーツ、バジリコ、ニワトコの花、ブドウの花などを感じさせる。セミヨン(50%)からは、洋梨、白桃、アプリコットを感じさせるような甘いフルーツの香りを感じさせ、ソーヴィニヨンの酸味を、柔らかくヴェールのようにつつみ、和らげている。まさに、南グラーヴのテロワールの持つミネラル感を守り、そのワインの風味にまで高められている。口の中に残る余韻は非常に長く、植物、フローラル、ミネラル感、フルーツ、そして軽いトースト香の間を揺れ動くかの様である。94点、80€/1本。

“Y d’Yquem”2012は、今までのものにくらべてよりフレッシュなスタイルで作られるであろう。実際に今年から新しいラインの醸造で、全てステンレスが使われる予定である。どんな仕上がりになるのか、すでに、注目の度合いは最高レベル。一方、ソーテルヌの貴腐ワインを味わいたい人には、2011年のディケムは、既に多くの人が知っている様に2001年と並ぶほどの素晴らしい出来、予想される点数はすでに99点に到達している。

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