ワインのダイエット

Vino_a_Dieta_012013年2月、イギリスの厚生大臣は、「ワインのラベルに栄養成分表示をするかどうかの審議が行われようとしている」と発表した。この議案はアルコール飲料業界でもすでに議論されているようである。

 

イギリスの厚生省は、「ビール、ワイン、蒸留酒のボトルに栄養成分の詳細を記載することは、肥満やアルコール依存症の減少にもつながるのではないか」と考えている。

この見解は、イギリスのアルコール飲料市場に好意的に受けとめられている。そして、この議案は、飲料のアルコール度数の強さに応じて課税するという政府の政策に対し、もう一つの案として見られているのだろう。

イギリスにおけるアルコール飲料の消費は非常に多様で、中でもワインとビールが主なもの。ワインは、私たちにとってより関心が高いものであるが、このワインについては、毎年一人当たり2,4000カロリー分の量のワインが消費されているという。これはポテトチップス184袋分に相当する。

このような見解に関心が高まりつつある中、アルコール度数が高いワインに嫌悪を抱かせるように、無理やりそうさせるようなわざとらしさを皆が少々感じている。

そして、ワイン業界にざわめきが起こった。2013年9月、低アルコールワインがリリースされたというニュースが頻繁に駆け巡ったからだ。

この騒ぎはニュージーランドにも届いた。ニュージーランドはワイン新興国であり、伝統というものがまだ完全には確立されていない。このため、このような極端な変革も寛容的に受けとめられた。

そこで、関係省庁が再度召集され、そこにはニュージーランドのワイン協会も含まれていた。この召集には一つの野心的な狙いがあった。それは「ニュージーランドを “lifestyle” ワイン、すなわち低アルコール・低カロリーワインの世界的リーダーにしよう」というものである。

Vino_a_Dieta_03-1ニュージーランド・ワイン協会の代表者は、「この分野のワインは、ある消費分野では成功するだろう。そのため、この研究が確かなワイン醸造技術によって、そして自然の酵母だけを使用し、より自然な製法でワインを製造する、すなわち実際のワインの製造方法と離れていない製法でプレミアムワインを製造することを意図しているなら歓迎である。」と納得しているようである。

最終的な目標は、嗅覚・味覚による味、香りの複雑さ、味わいの深さを損なうことなくワインに含まれるアルコールを減らし、そしてワインのカロリーを減らすことである。

今までに1,004万ユーロの予算がこれに割り当てられた。

何人かのぶどう生産者やワイン生産者に彼らの意見を聞いてみたところ、彼らの回答には驚きは見受けられなかった。しかし ただ一人、あるアルタ・ランガの生産者が冗談半分本気半分で次のように述べていた“私は、デュカンダイエット(*)がワインにも必要だとは思えない…”と。

(*) フランスのピエール・デュカン博士が考案したダイエット法。ハリウッド俳優などが実践しているダイエットとして話題になった。

 written by Akino Fukuichi(Sommelier AIS)
AIS Italiaより抄訳

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